ムハンマドちゃん

お寿司がすきです

私とヴィジュアル系

 

 

君と夏フェスみたいなタイトルをつけてしまいましたが、怒らないでください。ストレスフルな事が身に降りかかると、その反動でいつもはしないような事をしてしまいます。心なしか無駄にテンションも高くなります。ストレスへの防御反応でしょうか。そんな事はどうでも良くて、ネトフリもSNSも飽きた私は、Apple Musicをいじり始めました。そして好きな曲ばかりを集めたプレイリストを作っていたら、いつの間にかヴィジュアル系バンドの曲で埋まっていました。こうなったらいっそ、好きなヴィジュアル系バンドのリストにしてしまおうと、自己満足でそんなプレイリストを作成するなどしていました。

 

ヴィジュアル系バンドなど、馴染みがない人には本当に馴染みがない異文化かと思います。私にとってもそうでした。中学生になって軽音部に入るまでは。そりゃそうか、小学生がそんなの聴かんか。

 

私の学校は中高一貫の女子校で、必ずどれかの部活に所属しなければなりません。ピカピカの中学一年生、当時自分のスーパーインドアなポテンシャルなど知らなかった私はダンス部や阿波踊り部、あるいは剣道部なんてカッコいいナ〜などと考えていました。が、そんな中でどんなミラクルな経緯があったのか、なぜか軽音楽部に入ってしまいました。今考えると奇跡的です。軽音楽部がどんな事をするのかも知りませんでした。ベースという楽器も知らず、"クラブ紹介"の発表で見たPA卓で音量をいじる人のことを「ベース」と言うのだと本気で思っていました。そのレベルで軽音楽部が何をするのかも知らず入ってしまったのです。

 

流石に入部してからああ、こういう事をするんだ、バンドってこんな感じなんだ、ベースってこんな楽器なんだ、ウワッ何これ重ッ、などと、徐々に軽音楽部を理解し馴染んでいきました。中一の時は「ピアノをやっていた」という理由だけでキーボードを担当していました。自分もバンドの一員になり、また高校生の先輩の演奏を聴いて、かっこいい、これはなんて曲だろうなどと思って自分で調べて聴くようにもなりました。そんな中で出会ったのが「Acid Black Cherry」、いわゆるABC、そしてその前身ともいえる、丁度一年前頃に解散した「Janne Da Arc」というアーティストです。初めてヴィジュアル系バンドというものに触れ、衝撃を受けました。

中二になってからギターを始め、ギターが楽しくてより一層部活に多く関わるようになり、同時に色々なバンドに触れる事も増えました。憧れのジャンヌやABCの曲をコピーすることもありました。

そうして中二の冬、ついに、部活の友人と一緒に初めてABCのライブへ出向いたのです。今考えると中二でABCのライブへ行くなんてクソほどませたクソクソクソガキですが、バンドのライブ自体が初めてだった私は中二の幼い精神ながらいたく感動し、そうして高校生までヴィジュアル系への陶酔は加速していきました。ABCやジャンヌだけでなく、他のヴィジュアル系バンドの曲も聴くようになりました。高校生になってオリジナル曲を作ることもありましたが、今聴くとモロにヴィジュアル系の影響を受けています。メロディも歌詞もギターのフレーズも。恥ずかしいです。

 

私にとって、ヴィジュアル系は青春そのものです。ガチ恋して列に並ぶようなハードなバンギャではありませんでしたが、お化粧をして歌ったり楽器を演奏する男性の特異な美しさとその音楽に完全に嵌っていました。

登下校中は誕生日に買ってもらったウォークマンヴィジュアル系を必ず聴いていましたし、ツタヤで借りたCDを父親にウォークマンに入れてもらってはコレクションが増えたようでウキウキしていました。友人とのカラオケではオイオイその歳ではちょっと色っぽ過ぎるんじゃないか?みたいな歌詞の曲を歌ったり、本当に、側から見たらただのマセガキでした。学校から帰ってきてはリビングのテレビでヴィジュアル系バンドのDVD(しかも無駄に色っぽい歌詞)を熱心に観る娘を親はどう思っていたのでしょう。また女子校という環境もヴィジュアル系への陶酔を加速させた様に思います。共学ではそんな男ウケバチバチ悪そうなバンギャなど流行らないのではないでしょうか(知らんけど)。ライブに行く日には慣れない化粧を濃くしてみたり、ミニスカートを履いたり(アリーナ規模のライブだったのにめちゃくちゃキモい)、そして席が良かった日には格好良すぎて、美しすぎて、泣いた事もありました。もう、周りからどう思われようが、本当に好きだった、むしろヴィジュアル系しか私にはなかったのだと思います。

 

今や私が熱心に追っていたABCも活動休止し、ジャンヌも解散し、そして私自身も高二、三辺りからアイドル・オタクになったので、大学生になってから一度もバンドのライブ自体に行ったことがありません。

 

それでも未だに聴いていて脳汁ビシャビシャ、ゾクゾクするのは今も変わらずヴィジュアル系の曲です。厚い重低音と激しいギターサウンド、それと対比されるような美しくて妖艶な歌声と繊細な歌詞。

中高という精神的成長期に専らヴィジュアル系に傾倒し、流行りの邦ロックなどあまり聴かなかったためにこんなに精神が歪んだ人間になってしまったのかもしれません。それでも私はヴィジュアル系に傾倒した事を後悔しません。私にとって、ヴィジュアル系は永遠の憧れであり、永遠の青春です。